彼女の祖母が亡くなった。
彼女にとって、祖母への思いは特別なものがある。
詳しくは書けないが、家族の中で、彼女の祖母は、彼女の唯一の理解者だったからだ。

彼女の仕事は看護師。
シフト制で、ちょうど移動や新規入職があり、休みも碌にとれない状態。
休みを取らなければ葬儀に出られない事はもちろん、
遠方で仕事が終わってから通夜に出るという事もできない。
彼女は、忌引を取らずに仕事をする。
そこには、彼女が休めばシフトが崩壊するという現実がある。

「人の命を預かる仕事に就いたのだから、家族の死に目に会えない事は覚悟しておくべきだ。
家族にもそれを理解してもらう必要がある。」
彼女は自分の仕事に厳しい。

驚くべき事だが、
彼女の仕事について、
「家庭の事情で働かなければならない女性の仕事」という認識の高齢者は多い。
それが、
「盆暮正月に休みが無いなんておかしい。そんなのまともな人のする仕事じゃない」
などという言葉になる。

「私が死んでも、あんたは会いにくる必要はない。あんたは仕事をしなさい。それがあんたの使命だから」
彼女にそう言ってくれたという彼女の祖母は、
彼女の仕事についても、一番の理解者だった。

今日、祖母の葬儀の日に、
彼女は、胸をはって仕事をしていると思う。