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小倉城 [城巡り]

小倉に着くとすっかり日が暮れていました。
小倉の町は整然としていて、どこか東京の大手町のようです。
以前九州を訪れた折は、小倉も素通りしてしまいました。

今回は小倉城も見るつもりでしたが、
明日は下関で墓参、福岡から午後の便で帰るので時間が取れそうもありません。

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ホテルに向かう道すがら、紫川沿いでイルミネーションが見えたので、
食事に出かけたついでに電飾された橋を渡ると、その先に天守が見えました。
明日は時間がないので、外観だけみておく事にします。

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小倉城天守
この角度からみる美しいと思いますが、
どうしてもコンクリートの天守を評価する気にはなれません。

江戸時代に焼失した天守は、入母屋以外に破風のない南蛮作りだったと言われています。
その天守を真似たという津山城天守は写真が残っています。
現在の天守は破風に飾られた史実に基づかないもの。
周辺は公共施設が置かれ、石垣や天守・櫓などの方が場にそぐわない感じがしてしまいます。
市街化された城を避けてきた理由です。

小倉城は毛利(森)勝信が整備し細川忠興によって改修されました。

細川忠興は、初め中津城に入りました。
小倉には弟興元が置かれます。
勇将として名の高かった興元ですが、やがて出奔してしまいます。
興元は後に徳川秀忠によて取り立てられ、茂木・谷田部藩の祖となりました。
小倉には忠興の子で興元の養子となっていた興秋が任じられます。
しかし、兄忠隆の廃嫡、弟忠利が世子とされると、興秋までもが出奔してしまいます。
興秋は大坂の陣で豊臣方として戦い、戦後自刃しました。

細川家中の記録によると、
興元は忠興に臣下の扱いをける事が不満だったとされています。
あくまで形式上ですが、忠興は奥州細川家の養子になっているので、
興元は和泉細川家の当主という事になるからです。
関ヶ原後、忠興の父幽斎は幕府から隠居料を持ち京都に残っています。
幽斎は文化人だったので京都に居たかったでしょうし、
幽斎と廃嫡され京都に居た忠隆の人脈と情報は、
細川家の存続に大きく寄与したと言われていますが、
忠興は、関ヶ原で田辺城を明け渡した幽斎を罵倒したという逸話もあるので、
家中に争いの種を産まない配慮だったのかもしれません。

興秋は、弟忠利が世子となった事に不満を持ったとされていますが、
興秋は興元の養子になっているので疑問が残ります。
興秋は関ヶ原の戦功があり一城を治めているのにたいし、
忠利には何の実績もなかったので、やはり家中の分裂を防ぐ為だったのかもしれません。
ただ、大坂の陣で豊臣方に付いたので、
出奔の理由を家の存続や安定と考えるのにも躊躇があります。

細川幽斎は足利義昭が京都を追放された後から長岡氏を名乗っており、
忠興が細川に戻るのは大坂の陣の後になりますが、
忠利はそれ以前に徳川家康の命で細川を名乗っています。
人質として江戸にいた忠利は、徳川秀忠や近習と親しく、
秀忠の養女として小笠原秀政の娘(家康の曾孫)を正室としています。
前田利家の娘を正室としていた忠隆を廃して忠利を据えたのは、
家系存続の策だったと言われています。

細川忠興とその一族は興味深いものがあります。


細川氏が熊本に移ると、小倉には譜代の小笠原忠真が封じられました。
中津には甥長次、杵築には弟忠知が配されました。
九州の抑えを期待されていた事が分かります。

忠真の母は松平信康の娘であり、家康の曾孫に当たります。
つまり細川忠利とは義兄弟です。
幕府の期待通り、島原の乱では活躍しました。

しかし、代を重ねると、領内は凶作と飢饉に苦しめられ、
重税と身分制度の強化策がとられ、財政は悪化し、領民は疲弊していきました。
有効な政策が取れないまま小笠原騒動や白黒騒動が起こると、
その後も家中の分裂と抗争が続き、
幕末にはその力が弱まってしまいました
第二次長州征伐では小倉口の先方として出陣するも、幕府軍の瓦解で孤立。
やがて小倉口に戦力を集中した長州によって、
門司ついで小倉が占領されてしまいます。
門司・小倉に長州が進駐することで講和が成立。
豊津に移った小笠原氏は小倉に戻る事ができませんでした。
しかし、講和成立前は単独で反撃を試み、一時は小倉を奪還しました。
本拠地が戦場になったとはいえ、
早々に降伏した譜代に比べればはるかに見事だといえるでしょう。

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小倉城にもネコが居ました。
今回は本当にネコと縁があります。


翌朝、ホテルの間からは対岸の下関の彦島が見えました。




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