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LOVE 井上昌己 [Essay]

街を抜ける交差点 行き交う人の群れ

冷めたアスファルトが今日も 心を 痛がらせる

井上昌己 / LOVE / 1992年


井上昌己さんを知ったのは大学生の頃、
当時は女性ボーカリストのデビューが続いていたので、流行だったのだろう。
私にとっても、何人かの女性歌手の中の一人ではあったが、
同年代だったこともあり、
「どんなふうにこの夜は終わるのだろう」や「腕の中のNAVIGATION」は、
ちょとドキドキしながら聴いていた。


私にとってこの曲は、渋谷の風景。
田舎のSEが都会に出てきて、初めてのプロジェクトのオフィスが渋谷だった。

朝はほとんど藤沢という横浜の外れの駅から電車に乗り、
横浜駅から東横線の満員電車に自分を押し込む。
夜は渋谷駅から、横浜駅の終電にギリギリ間に合う電車に飛び乗る。
そんな毎日。

子供たちの起きている姿を見ることは出来なかった。

何より、満員電車が苦痛だった。

それまで田舎で在宅勤務だったものが、
いきなり、
都会でも一二を争う乗車率の路線で、通勤を始めたのだ。

渋谷駅前の交差点で、ふとこの曲を思い出した。

十年前のアルバムの一曲。
だが、ずっといい歌だと思ってはいた。
しかしこの時は、まさに身につまされる思いだった。

SEでなくても、こんな生活をしている人は少なくないと思う。
私も、自分ががんばる事が、家族の為だと思っていた。
この時は。

いや、それだけではない。
田舎SEだった自分が、大きな仕事で通用している自負心。
誰でも知っているような有名企業の仕事をしている優越感。
そんなつまらないものが私を支えていた事も事実だ。

今から思えば、些細な代償のために、
何でこんな事をしなければならなかったのかと思う。

その仕事が「終わる為」だった事も今となっては皮肉な話だ。

数年後、家族の為という理由を無くし、
元々人が多い場所が苦手だった私は、満員電車に乗れなくなった。


We are the same Feel our love

We are the same Feel our love

Beyond the end We need love forever

You're not alone in the world of our love

井上昌己 / LOVE / 1992年


今は、歩いて通う事ができる場所に仕事を見つけた。
それでも、時々、交差点で、この歌を思い出す。


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コメント 2

おつみーこ

お久~(≧э≦)/

井上昌己って誰~(ノ゚∀゚)ノ?って思ってYou Tubeで確認したら、
1曲だけ知ってたー「お願い~お願い~」っていうやつw

渋谷はワサワサした街だよね。
ワタシも一時、道玄坂登ったトコで働いてたけど、
町田からの通勤はきつかったよ(´Д`υ)

自負心、優越感、それを一生感じて生きていく人もいれば、
evergreen さんのような人もいる。
ワタシもevergreen さんと一緒だよー(。-∀-)b

あっ、でも、年に何回も恋人のために数十万円のバックは
買わなかったけどねー^m^



by おつみーこ (2011-07-16 00:32) 

evergreen

何十万じゃなくて、「十万近く」だってば!

でも、あの頃は、
誕生日とかクリスマスにプレゼントしようと、
オフに一ヶ月もバイトをすれば、すぐに十万くらい手に入ったんだよね。


「お願い~お願い~」は「恋が素敵な理由」だね。
たしかこの歌の次の年に出た曲だけど、
「恋が素敵な理由」がちょとヒットしたら、
つまらなくなって、聞かなくなった。(^^;



by evergreen (2011-07-16 12:50) 

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